「カーリースで頭金ありで利用することもできるの?」
「カーリースは頭金あり/なしどっちがいいの?」
カーリースを利用するにあたって、頭金についてこのような疑問や悩みを持つ人は多い。結論から言うと、カーリースは頭金ありで利用することができる。しかし多くの人は、頭金ありで利用すると損してしまうことを知らない。
そこで本記事では、カーリースを頭金ありで利用するメリット・デメリットと、頭金ありで利用するとなぜ損をしてしまうのかを解説している。カーリースを頭金ありで利用するべきかどうか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてほしい。
カーリースの頭金とは?マイカーローンの頭金と何が違う?
カーリースにおける頭金とは、車両価格の一部をリース契約時にまとめて支払うことだ。マイカーローンにおける頭金とほぼ同義であり、毎月の支払い額を減らせるのが頭金ありで利用する大きなメリットである。
ただし、カーリースとマイカーローンとでは頭金の勝手が少し違う。まず、マイカーローンを頭金ありで利用すると、その金額分が車両価格から差し引かれ、差し引き後の車両価格を銀行や信販会社から借り入れることになる。たとえば300万円の車を購入するにあたって、100万円の頭金を入れる場合、残りの200万円を銀行や信販会社から借り入れる。
このため、頭金ありでマイカーローンを利用すると、その金額分が支払い総額から差し引かれる。これにより、毎月の支払い額を大幅に減らすことができる。
一方、カーリースはリース契約時に残価を設定し、これを車両価格から差し引くことでリースとして支払う部分が確定する。

カーリースを頭金ありで利用すると、その金額分は残価ではなくリースとして支払う部分から差し引かれることになる。「マイカーローンの頭金と何が違うの?」と思うかもしれないが、実はこれが大きな違いだ。なぜ損をしてしまうのか?は、次章で詳しく解説する。
カーリースは頭金ありで利用すると損をするサービスである
カーリースは頭金ありで利用するとなぜ損をするのか?それは、頭金の金額分は車両価格全体ではなく、リースとして支払う部分から差し引かれるからだ。
\カーリースとマイカーローンの頭金の違い/

上記のとおり、カーリースは車両価格から残価を差し引き、リースとして支払う部分を確定する。頭金はこの部分から差し引かれるため、リース契約時に設定した残価は変わらない。つまり、カーリースを頭金ありで利用しても、残価に対して発生する利息(手数料)は一定である。
これにより何が起こるかというと、頭金ありは月額を大幅に減らすことはできても、リース総額を頭金の100%分減らすことはできない。実際に、頭金のあり/なしによる月額とリース総額の変化をシミュレーションしてみた結果を紹介する。
\頭金の有無によるリース総額比較/

| 頭金なし | 頭金10万 | 頭金30万 | 頭金50万 | 頭金100万 | |
| 月額 | 51,700円 | 49,940円 | 46,420円 | 42,900円 | 34,210 |
| リース総額 | 4,342,800円 | 4,304,960円 | 4,229,280円 | 4,103,600円 | 3,973,640円 |
| 頭金なしとの差額 | − | -37,840円 | -113,520円 | -239,200円 | -369,160円 |
| 比較条件 | |||||
| リース期間 | 7年 | ||||
| 車種 | トヨタ ノア | ||||
| グレード | X ガソリン 2.0L 2WD(7人乗り) | ||||
| ボディカラー | アティチュードブラックマイカ | ||||
| オプション | 追加なし | ||||
| ボーナス払い | 設定なし | ||||
※ 公式サイト上で確認できる金額であり、実際の金額は契約プランや追加するオプションなどによって異なる場合がある
※ オリックスカーリースの見積もりシミュレーション機能を使用して算出した金額を掲載
たとえば、頭金を100万円入れると月額は17,000円程度抑えることができる。しかしリース総額を見てみると、頭金100万円を入れたはずなのに37万円程度しか減っていない。これは、カーリースを頭金ありで利用しても残価はそのままであり、残価に対して発生する利息(手数料)も変わらないからである。
これが、カーリースを頭金ありで利用すると損をする仕組みだ。
カーリースを頭金ありで利用するメリット
カーリースは頭金ありで利用すると損をしてしまう。しかし下記のメリットもある。
- メリット①月額を抑えられる
- メリット②審査に通りやすい
- メリット③選択肢が広がる
ここでは各メリットを詳しく解説していく。
メリット①月額を抑えられる
カーリースを頭金ありで利用すると、月額を大幅に抑えられるメリットがある。
\頭金の有無によるリース総額比較/

| 頭金なし | 頭金10万 | 頭金30万 | 頭金50万 | 頭金100万 | |
| 月額 | 51,700円 | 49,940円 | 46,420円 | 42,900円 | 34,210 |
| リース総額 | 4,342,800円 | 4,304,960円 | 4,229,280円 | 4,103,600円 | 3,973,640円 |
| 頭金なしとの差額 | − | -37,840円 | -113,520円 | -239,200円 | -369,160円 |
| 比較条件 | |||||
| リース期間 | 7年 | ||||
| 車種 | トヨタ ノア | ||||
| グレード | X ガソリン 2.0L 2WD(7人乗り) | ||||
| ボディカラー | アティチュードブラックマイカ | ||||
| オプション | 追加なし | ||||
| ボーナス払い | 設定なし | ||||
※ 公式サイト上で確認できる金額であり、実際の金額は契約プランや追加するオプションなどによって異なる場合がある
※ オリックスカーリースの見積もりシミュレーション機能を使用して算出した金額を掲載
上記のとおり、頭金を100万円入れると月額は17,000円程度抑えられる。頭金を10万円入れるだけでも月額を1,800円程度抑えられるため、月額の安さを重視するなら頭金ありで利用することを検討しよう。
ただし、カーリースは頭金ありで利用すると損をするサービスであるで解説したように、カーリースを頭金ありで利用しても、頭金の100%分をリース総額から差し引けるわけではない。この注意点をしっかりと理解した上で、頭金のあり/なしを判断しよう。
メリット②審査に通りやすい
カーリースを頭金ありで利用すると、審査に比較的通りやすくなるメリットもある。カーリースの審査では、以下のような項目がチェックされる。
審査でチェックされる項目
- 年収額 :一般的に年収200万円以上が審査通過の最低ライン
- 勤務形態:正社員は信用度が高く、非正規雇用者は信用度が低い
- 勤続年数:勤続年数1年未満の場合は審査に通らない可能性が高い
- 保有資産:資産があれば年収額が低くても審査に通る可能性あり
- 他社借入:他社の借入れ件数・金額が多いと審査が不利になる
- 信用情報:過去の返済延滞や債務整理は審査が不利になる
※ カーリース・マイカーローンの審査はこれらの情報を総合的に評価し審査結果が下される
これらの項目をチェックした上で、「十分な支払い能力を有しているか?」を判断するのがカーリースの審査だ。カーリースを頭金ありで利用する場合、支払いに対する積極性をアピールでき、支払い能力が高いと判断されやすい。
このため、カーリースを頭金ありで利用すると審査に通りやすくなる。もっとも、頭金を入れる自己資金があるのなら、カーリースではなくマイカーローンを利用するのがおすすめだ。マイカーローンを頭金ありで利用すると、頭金100%分が車両代金から差し引かれるため、支払い総額を大幅に抑えることができる。
ただし、マイカーローンでも残クレ(残価設定型ローン)はカーリースと仕組みがほぼ同じであり、頭金100%分を支払い総額から減らすことができないため注意してほしい。
メリット③選択肢が広がる
カーリースを頭金ありで利用すると審査に比較的通りやすい。すると、諦めていた車種やグレードの審査に通る可能性が出てくるため、車種の選択肢が大きく広がる。
ただし、高額な車種やグレードを選ぶと、頭金ありで利用しても月額を抑えることができない。カーリースで利用する車種を選ぶ際は、毎月の支出計画をしっかりと立てた上で、滞りなく支払える現実的な車種やグレードを選ぼう。
カーリースを頭金ありで利用するデメリット
カーリースを頭金ありで利用するデメリットはやはり、頭金100%分がリース総額から差し引かれないことだ。
\頭金の有無によるリース総額比較/

| 頭金なし | 頭金10万 | 頭金30万 | 頭金50万 | 頭金100万 | |
| 月額 | 51,700円 | 49,940円 | 46,420円 | 42,900円 | 34,210 |
| リース総額 | 4,342,800円 | 4,304,960円 | 4,229,280円 | 4,103,600円 | 3,973,640円 |
| 頭金なしとの差額 | − | -37,840円 | -113,520円 | -239,200円 | -369,160円 |
| 比較条件 | |||||
| リース期間 | 7年 | ||||
| 車種 | トヨタ ノア | ||||
| グレード | X ガソリン 2.0L 2WD(7人乗り) | ||||
| ボディカラー | アティチュードブラックマイカ | ||||
| オプション | 追加なし | ||||
| ボーナス払い | 設定なし | ||||
※ 公式サイト上で確認できる金額であり、実際の金額は契約プランや追加するオプションなどによって異なる場合がある
※ オリックスカーリースの見積もりシミュレーション機能を使用して算出した金額を掲載
シミュレーションの結果、頭金100万円を入れてもリース総額から差し引かれるのは37万円程度だった。残りの63万円についてはリースの利息(手数料)に充てられている。
これが、カーリースを頭金ありで利用する最大のデメリットであり、カーリースを頭金ありで利用すると損をする仕組みだ。
結論、カーリースは頭金なしで利用するのが正解
結論として、カーリースは頭金なしで利用するのが正解だと言える。そもそもカーリースは初期費用ゼロで新車に乗れるのが魅力であり、毎月の支出をフラットにできるのが大きなメリットだ。
\マイカーローンとカーリースの支出イメージ/


このため、頭金を入れるほどの自己資金があったとしても、カーリースは頭金なしで利用するのがおすすめだ。頭金を入れるのではなく、何らかの突発的な支出に備えて自己資金を管理しておくのが、カーリースを利用する上での賢い選択である。
カーリースの頭金についてよくある質問
カーリースの頭金は自由に設定できるの?
カーリースで設定できる頭金の金額は決まっている。具体的な金額については、カーリースごとに異なるため審査通過後に担当者に聞いてみよう。
すべてのカーリースで頭金を設定できるの?
カーリースの中には頭金を設定できない場合がある。たとえば、カーリースカルモくんは頭金もボーナス払いも設定できない。
中途解約したら頭金は返ってくるの?
中途解約可能なカーリースを利用するにあたって、中途解約した場合でも頭金は返金されない。このため、カーリースを頭金ありで利用するのはリスクが多い。
おわりに:カーリースは頭金なし(初期費用ゼロ)で利用しよう

本記事で解説した内容をまとめる。
- カーリースは頭金ありでも利用できる
- マイカーローンの頭金とは勝手が違う
- カーリースの頭金は支払い部分から差し引かれる
- 残価はそのままだから残価分の利息(手数料)は変わらない
- このため頭金100%分がリース総額から差し引かれない
- 結論、カーリースを頭金ありで利用すると損をする
カーリースを利用するにあたって、月額を抑えるために頭金ありを検討する人も多い。しかし実際のところ、カーリースを頭金ありで利用すると損をするため注意してほしい。
そもそも、ほとんどのカーリースでは頭金ありで利用することを推奨していない。初期費用ゼロで新車を所有できるのがカーリースのメリットであり、やはり頭金なしで利用するのが正解だ。
このため、カーリースを利用する際は頭金を設定せず、自己資金を手元に残しておいたまま利用するといいだろう。
